コラム:営業中途面接で何を観るか-2

お客様のところで、「来期以降に向けての人員補強を進めていきます」という話題が出る機会が増えているので、私が実際に中途採用面接にあたっていた時にどんなポイントを観ていたかをまとめてみますということで、前回は「営業中途面接で何を観るか-1」として、面接応募資料では何を観るかについて書いてみました。今回はその2ということで、実際の面接でのやりとりについて書いていきたいと思います。

◆前職までの業績の中身

営業職は「営業成績」という他の職種と比べても比較的わかりやすい評価要素となる成果物があるので、選考側としては助かります。ですから、できるだけ優秀な人材を求める側とすれば、応募者の書類にはキラリと光るような業績結果が書いてあって欲しいですし、事実、ほとんどの場合は応募資料に成績の達成率状況や社内でのランキングなどが書かれています。しかし、いくら書類上に、「年間営業成績1位」「対前年売上伸び○○%」と書いてあったからといって、必ずしも待ち望んだ優秀な営業マンが応募してきた!と判断するわけにもいきません。たまたま大きな案件を掴んだとか、良いクライアントを持っていたというケースも十分にあり得ますし、この場合は担当がその応募者本人ではなくても同様の業績が上がっていたかもしれないこともあり得ます。ですから、面接では応募者本人の能力がその業績に大きく貢献していたかの見極めが必要になります。極端な話、潤沢でお金の動くマーケットを担当していて前年を大きく伸ばせた人よりも、非常に厳しいマーケットで競合も苦戦しているところで大幅ではないなりにも前年伸びを出せている人材の方が、実は優秀ということもありえるということです。

では、面接で業績面についてどんなポイントを聞いてみるか。

・営業成績順位なら営業環境から競争相手のレベルや人数
対前年+240%を達成していました!と言われても、周りも似たようなレベルであったのであれば、それは営業のスキルよりは商材や会社の戦略が良かっただけということも想定されます。また、100人中の1位と10人中の1位では当然その重みも変わりますし、応募者が若手で実際の競争相手が先輩ばかりだったのであれば、上位入賞がなく中位程度の実績でも十分評価対象としてみることができます。単純に成績の順位結果だけを見るのではなく、どんな環境下での成績だったかは確認が必要です。

・業績を生み出した要因
本人の実力が好業績要因の大きな部分を占めるのか、思わぬ大口や好景気といった外的要因の恩恵に預かった部分が大きいのかなどはまず確認してみるべきところであり、「何が好成績に繋がったのか」「自分の取り組みは周囲と何が違ったのか」という踏み込んだ部分を聞いてみるといろいろとわかってくるはずです。企業側が欲しい営業として優秀な人材は「継続して高い業績を上げ続けることができる人」であり、業績が景気観に大きく左右されないことも理想像の1つでしょう。そういった、成功を再現させるロジックを考え、実践することができるか否か、逆境の中でも業績を出すアイデア、メンタルを持ち合わせているかは前述のような質問にどのような答えが返ってくるかで垣間見ることができます。「何故、応募資料に記載されているような好成績をおさめることができたのか?」という質問に対して、面接官としてなるほどと理解できる回答ができない人は少し物足りません。何故なら、それに的確に答えることができないようでは、いくら以前の職場で高い業績を出せていたとしても、環境が新しくなる皆さんの職場でまた同じように高い業績を残してもらえるイメージが持てないからです。しかし、しっかりとした目論見を持った行動を結果につなげていたり、成功要因を次回に繋がるよう振り返り分析できる人は、環境が変わっても同じように高い業績を上げられるイメージを持てるはずです。もしかしたら、自社に応募してくる人材はなかなかそこまでのやりとりを期待できない気がしますという方もいるかもしれません。それでも、自分の成績を形作ってきたものは何か?というやりとり中で応募者から語られる内容は、きっと見極めのヒントが隠されています。面接官としてひっかる言葉が何も返ってこないのでれば、それは残念ながらという判断になるヒントでもありますからね。

・何故、行動できたのか
前述のように、どうやって高い業績を上げてきたのか?というやりとりの中で、どうしてそのような行動ができたのか?という質問をしてみるのもオススメです。例えば「とにかく人の2倍も3倍も訪問をしたことが案件の発掘、契約に繋がりました」という人がいたとしたら、何故そこまで人よりも多く行動できたかという部分は、その人材のビジネスマンとしてのあり方や価値観を知るポイントになります。その素養が皆さんの求める人材像にマッチするのであればなお良しですよね。

・業績が悪い中で何をしてきたか
残念ながら全ての応募者が輝かしい業績を持っているかと言えば、そうではありません。しかし、ご存知のように営業には本人にはどうしようもない外的要因も密接に関係してきます。ですから、光る業績実績がなかったとしても、その中で、何を考え何を実践してきたのか。どういうPDCAに挑戦していたかを聞いてみましょう。先ほどの、好業績の要因を聞くやりとりと同じくここで語られる内容が皆さんの会社の営業環境にあてはめた時にポジティブな印象を得られるのであればそれも採用判断の大事なポイントになるはずです。

細かく書きだすとキリがないので、この辺にして今回書いてみた面接で確認したいことは整理すると
・前職までの結果よりもその要因、プロセスを重視する
・入社後に、過去の成功体験を再現させるロジックを持っている
という2つが大きなポイントです

結局、中途採用で大事なのはあくまでも過去の実績ではなく、入社後の自社で活躍してくれるかということですから、如何にそこを見極める質疑を面接で行うかが大事ですよね。

まだ、お伝えしたいことがありますので続きはその3にて。

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