コラム：営業中途面接で何を観るか－３

お客様のところで、「来期以降に向けての人員補強を進めていきます」という話題が出る機会が増えているので、私が実際に中途採用面接にあたっていた時にどんなポイントを観ていたかをまとめてみますということで、前回までに
「営業中途面接で何を観るか－１」　応募資料のどこ観るのか
「営業中途面接で何を観るか－２」　営業実績をどう観るのか
として書いてきましたが、今回はその３ということで実際の面接でのやりとりの中で確認するポイント「組織貢献の内容」について書いていきたいと思います。

◆組織貢献実績はここを見極める

これは営業の中途採用に限ったことでもないのですが、一定の年齢を超えた人材の中途採用面接になると、これまでの実績の中に個人成績以外にも組織貢献実績として、社内プロジェクトや各種企画への参画などに関するアピールポイントが入ってくることが多いでしょう。ある程度の年齢で自分の事だけをやってきましたとアピールされても少し物足りなさを感じることも多いだけに、このように組織に対する貢献面でも評価できる内容を持っている人は期待値も高まりますね。では、そんな組織貢献実績の話になった時にどんなことを確認していけばいいかを今回は少し書いてみます。

・参加していたプロジェクト、企画でどの程度の責任を負っていたか
チームとしての成果はさておき、そこに応募者がどう関わっていたのかが面接で確認したい重要なポイントです。組織貢献の実績を誇らしげにアピールされたのですが、よくよく話を掘り下げてみると応募者自身はプロジェクトの一員だったに過ぎず、実行に関する主要な人からの指示を受けて動いていただけということも往々にしてあります。それが決して悪いという事ではありませんが、どんなに大きなプロジェクトに関わってきたとしても、中心人物だったのか、数多い担当の一人レベルだったのかでは期待できる内容は随分と違ってきます。仮に中心人物だったとしても、判断・決断を下していたのか、少しレベルの高い役割をになっていただけなのかでもまた違いますが、理想的な人材は、多少小規模なプロジェクトだったとしても、判断・決断を下す役割を担っていた経験を持つか否かなのではないでしょうか。

・どのような経緯で参加したのか
関わっていたプロジェクトや企画に参加するに至った経緯も聞いてみたいところですね。立候補したのであれば積極性を期待できそうですし、指名を受けて参加したのであれば社内や上司から一定の信頼を勝ち得ていたことも伺えます。

ここまでに書いたような社内のプロジェクト、企画以外にも何らかの情報共有や日常業務の改善活動など、他の形での組織貢献もたくさんあると思います。そういった場合でも、どうしてそれを実践しようとしたのかや、プロジェクトと同じで自発的に取り組んだのか、評価目標にされたから取り組んだのかなど実践の動機は同じく聞いておきましょう。そこにもまた、皆さんが欲しい人材かどうかを見極める情報は見えてくるはずです。

最近は、現状の組織があまりに横の連携が弱いために事実上個人商店の集まりと化してしまい、組織が不活性な状態になっているので何とかしなくてはいけないという課題感を伺うことも少なくありません。確かに、どんなに優秀な個人がいたとしても結局個人が出せるアウトプットというのは限界がありますし、そもそもで優秀な個人をたくさん抱えることができる組織はなかなかないでしょう。そうなると、一般的な組織が上手に組織としてのアウトプットレベルを上げていくためには、いかに個人の力を組織の力へと変えシナジーを生んでいけるかは１つのポイントだと言えます。しかしながら、既存の人員でこれまで個人にフォーカスして働いてきた人は、上司が組織貢献を実践してほしいと願っても、腰が重たかったり、理解を得にくかったりで思うようには行動してもらえないこともありえます。そこで、組織に貢献することやそれが生む価値を知り、成功した経験を持つ人が、外部からそういった新しい価値観を持ち込んでくれることは、組織風土を変える１つのきっかけになることが期待できるだけに、面接でこの能力に長けた人材を選ぶというのも大事なのかもしれません。