コラム:育成を後送りしない

 
若手育成を含め、人材育成の課題について話しをしていると、「今は少し忙しいので落ち着いたら取り組みたい」という意見があります。私も現場マネジメントをしていたので気持ちもわかりますが、逆に現場で多くの若手や中堅社員を育ててきたからこそ感じるのは、このスタンスは良いものではないということです。

それは何故か?

若手や中堅社員にとっては、毎日が成長の機会です。どんなに理屈を伝え教えても、自己啓発の本を読み漁っても、それを本人の血肉にする場は実務経験です。つまり、指導育成を後送りするということは少し思い切った言い方をすれば「毎日を部下にとっての最大の成長機会へと変えるチャンスを捨てている」と言っても、言い過ぎではないというのが私の実感です。

例えば、1ヶ月という業務スパンで考えた時に、今日1日か半日でも掛けて、何かの指導時間をまとめてとったとして、それによって、これからの1ヶ月で実務の質が少しづつでも上がっていくと考えると、「今は少し忙しいから~」という理由で先伸ばしにする判断は適切なのか。

結局、後送りしてもどこかのタイミングでは指導育成を実施するのであれば、今、実施して、明日以降の日常に転嫁して成長機会を最大化させるのと、ズルズルと先延ばしにしてしまうのとでは、どちらが指導実施効果、ひいては組織の生産性を最大化できる判断だと言えるか。

いかがでしょうか。

若手や中堅社員にとっては日々のすべての経験が成長機会だと考えると、同じ指導育成するならば、少しでも前倒しで実施して、それ以降の毎日を、成長機会として「最大限に有効活用」することが、部下にとっても組織にとっても、時間投資価値が最大化すると思いませんか。

管理職にとって「忙しくない時期」は時期をずらせば本当にあるのでしょうか?おそらくあったとしても「ちょっと」落ち着いて時間が取れる程度のはずです。しかし、人材育成はそんなちょっとした時間で無しえることではないことは誰もがわかっている事のはずです。であれば、「今は少し忙しいので~」という理由で後送りせず、部下の成長を最大化するために時間を確保しての自分の組織においてのあるべき人材育成に、すぐに取り掛かるのがBestではないでしょうか。

管理職の忙しさの何割かは、部下が頼もしく成長すれば仕事を任すことで緩和されることでもありますしね。