コラム:キャリアプランは必要か?

 
ここ数年、若い人から相談される事が多くなったなと感じるのが

「実はキャリアプランが明確にできていないのですが、それでは駄目ですか?」
「あまり、夢とかが具体的には無いのですが、駄目ですか?」

というキャリアイメージが明確に持てていないことへの不安という種類のものです。

今の若い世代の人たちは、私達のその当時と比べるても、大学生活や就活のタイミングで自分の夢やキャリアプランをしっかりと考えている人が多いのですが、相談してくる彼らと話をしてみると、しっかりとキャリアイメージを持つ同僚と自分を比べてみたり、就活を機に定めてみた事が、いざ働き出して感じた現実の前に揺らいでいたりして、急に不安になってくるようです。

どうでしょう?皆さんも一度や二度同じような相談をされた事はありませんか?
「あるある」と思われた方は、その時どんな言葉を返されていますか?
私、基本的にはいつも「別にいいんじゃないの」と答えています。

私自身、今でこそ「やりたい事」が明確になり、その為に努力していますが、20代の頃には、明確なキャリアイメージはほとんど無いままやってきました。それよりも、いつも、1年、長くて3年程度の短期的な目標だけ決めて、そこには必死に取り組んでいましたが、特に困ったという記憶もありません。むしろ、個人的には、明確なキャリアイメージが「無い」ことよりも、「キャリアイメージが無いと駄目なのだろうか」と不安にさせる風潮のほうが気になります。。。

無論、目標となるものがあるにこしたことは無いので、「キャリアイメージ」「夢」が具体的にあるのは良い事だとは思いますが、20歳そこそこまでに見たり聞いたり体験してきた事の中に【自分の心をとらえる事】が無かったとしても人生はまだまだこれからですし、そんな浅い経験のその中で決めてしまって固執するほうが勿体ない話です。(誤解してほしくないのですが、拘ることがどうこうではなく、可能性は閉じないほうが良いという意味です)

ただ、こんな考え方を前提した上で「別にいいんじゃないの」という答えと一緒にアドバイスするのは

 ・【自分の心をとらえる事】に出逢うためにも、アンテナを高く張りなさい
 ・今、目の前のことには集中し全力投球する

この2つの事です。

「別にいいんじゃないの」と私が伝える想いには「まだ見つかってないのであれば」という前提があります。だから、それを見つける為には、いろいろな人と話し、いろいろなものに触れて【自分の心をとらえる事】と出逢える可能性を最大限に広げなくては、本当にいつまでも自分心の羅針盤が定まらないままです。また、全力でトコトンやって初めてわかること、見えることがあるので、今の目の前にあるものはまずしっかりと全力で取り組む事の重要性は伝えるべきだと思います。全力で頑張る姿に客観的に何らかの良さを見出すことができれば、新しいチャンスが生まれるかもしれません。少なくとも、頑張ってない人に周りはチャンスをくれないので、それだけでも頑張ってみる価値はあることは伝えてあげる必要があります。仮に、やりきっても何も見えなかったとしても、それが【自分の心をとらえる事】では無いということはハッキリして、少なくとも、モヤモヤとしてるよりはよっぽど良いはずです。

簡単にまとめると

確かなキャリアプランや夢が今無いからと焦る必要はないけれど、その替わりに、目の前のことには手を抜かず、好奇心旺盛に自分の可能性を探ることはやめない

もし、冒頭のような相談に上手く答えられてないという方がおられれば、若い人たちにアドバイスをする時の何らかのヒントにしてもらえると幸いです。