コラム:「悪くないね」と「イイね」

 
今日は「悪くないね」と「イイね」は似て非なるものだという話。

外回りから戻った部下に、商談先での手応えを訪ねた時

 「先方から悪くないねと言ってもらえました」

と報告してきたたら皆さんならどうコメントしますか?

 「おおっ、良かったじゃないか。いけそうだな」

凡そ、こんな反応の人が多いのではないでしょうか。

この表現は、決して仕事のクオリティに対してネガティブな反応ではないので、ポジティブな人ならこのように好感触と思うかもしれません。でも、そう思う前にちょっと考えてみてください。

「悪くないね「イイねと同じなのでしょうか?私はそうは思いません。「悪くないね」は、あくまでも「悪くない」レベルであり、やはり「イイね」と同じではありません。「イイね」と評価をするには何かが足りない(もしくは先方はわかっている)。その足りない何かが、相手に「イイね」と言うことを躊躇させている。つまり「悪くないね」という表現には、まだまだ良くできる余地の存在が含まれています。

中には「悪くないね。いいんじゃない?」と言うケースもありますが、それを含めて「悪くないね」という言葉を、さらっと好意的にとるのはちょっと待つべきなのです。単純な話、率直に「イイ!」と思った時に、わざわざ「悪くない」という言葉を使うでしょうか?きっと多くの場合、その場合は率直に「イイね」というでしょう。

自分がお客様だったら、「悪くない」というレベルの仕事を繰り返す人と、「イイね」と思わせてくれる人がいたら、後者に声を掛けてしまうのでは?相手の求めるOUTPUTに対して、求められる基準ギリギリや少しそれを下回るクオリティで仕事を続ける人には、何度もチャンスは与えられません。「イイね」という言葉をもらえるまでは、内容は練り直すべきであり、相手の期待に十分応えるOUTPUTが次のチャンスを呼び込むことを教える必要があります。

部下に確実に成功体験を積んでもらう為にも、こんな時には「喜ぶのはまだ早い」と諌め、心からの「イイね」をもらえなかった要因を見つけるように促してこそ上司じゃないでしょうか。