コラム:若手の職場定着-1

 
3月1日を迎えたことで就活解禁となり、それらに関するニュースや記事も増えてきました。今年は引き続き「売り手市場」だそうですね。個人的には就職に関する話題で「売り手」「買い手」という表現もどうかと思うのですが(お客様との会話でニュアンスが伝わりやすい一般化した表現として仕方なく使う事もありますけど)、就活関連のニュースを見ていてそれよりも気になっている表現があります。それは、
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・辞めない人材
・辞めさせない職場環境
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この類のものです。
これらの表現、思考の根底にあるのは果たしてポジティブなものなのかでしょうか。

例えば「辞めない人材」という呼称。どこか採用される側に原因があるような印象が強いのですが、3年で3割の新人が退職するという話題のニュースや記事を見ても、新人がなかなか定着せず早期に辞めてしまう要因の多くは会社とのミスマッチにあるという論調を目にします。私個人としても、突き詰めていくとそこに問題があるという結論になることに納得感もあります。しかし、そうなると、そこはミスマッチな人材を採用した採用部門側に問題の多くが存在するはずなのに、どこか若い世代に対するステレオタイプな印象の1つ「こらえ性が無い」を暗黙で原因にしてしまっているかのような印象です。もちろん、0か100かでどちらかにだけ要因があるわけでもありませんし、場合によっては本当にこらえ性がない甘えた人材だったというケースもあるでしょうが、それも採用段階で見極めが必要な話であり、採用して現場に配属した後に「こらえ性がない人材だったから」と若手が定着しない原因を採用される側に求めるのはおかしな話です。そういった「採用される側のほうに問題が多い」ような感覚で採用活動を行ってしまっていることに、採用のミスマッチや若い人材が定着しにくい問題の一因があるのではないでしょうかというのが私の考えです。より良い人材が定着する組織を創るためには、採用した以上、それは何とかするのが採用した側の責任だと思えない組織では、次々と人は育つとは思えません。

中には「優秀で辞めない人材」という表現も見かけますけど、優秀な人材に辞められてしまう組織という自責視点を持っていれば、そんな恥ずかしい条件出しできないのではないでしょうか。

そして「辞めさせない職場環境」。より良い人材が定着する組織を創るための対策として、福利厚生を含めた待遇などを整えたり、周囲の同僚からの手厚い関わり方だったりの話しが多いようですが、「辞めさせない」という視点からいくと基本「甘さ」「緩さ」が入りがちです。しかし、「甘さ」「緩さ」で繋ぎとめられる人材は果たして組織の求める人材像に近づいていくのでしょうか?「甘さ」「緩さ」で若い人材を繋ぎとめようとする会社は、これまで頑張ってきた既存の先輩社員達の目にはどう映るのでしょう。別にこれは若い人達に厳しいことを求めるべしということを言いたいわけではありません。しかし、「辞めさせない」という視点から対応策を打っているところほど、おかしなことになっているケースが散見されるなというのが私の印象です。

では、より良い人材が定着する組織を創るためにはどうすべきと私が考えているか。

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