コラム:面接で使える質問-2

 
前回のコラム:面接で使える質問-1は実質は質問に入る前段階に使える効果的なオープニングトークの紹介だったのですが、思った以上の反響と具体的な「面接で使える質問」へのご期待も伺っていまして、現場でのお困り度もあらためて実感しております。
さて、そんなご期待応えるためにも早速へ「面接で使える質問」の紹介へと参りましょう。

◆自己評価への根拠

王道的な面接の質疑項目に「自分の強み、弱み」というカテゴリーがあると思います。ここでは「その強みを過去に発揮できていた事例を教えてください」に代表される<いかに強みを活かしてきたのか?>というやりとりがなされると思いますが、まず精査したいのは<それって本当に強みと言えるのか?>という部分です。「~~ができる」ことと、「~~が強みであること」は別であり、「~~が多少人よりもできる」も現実的には強みと言える訳ではありません。それに、思い返してください。応募者が「自分の強みを活かして~~してきました」という話を聞いて、面接官として心沸き立つことがそんなにあるでしょうか?実は、そんなケースは少なくて、多くの場合は「なるほどね」のレベル止まりのはずです。

では、どう展開すると良いのか。

「先ほど伺った強みなのですが、そもそもそれが<自分の強み>だと認識されている根拠は何でしょうか?他の人よりも多少~~ができるというのは、良い事なのですがそれがイコール<強み>かというとそれは違うと思うのです。ですから、それをあえて<強み>と考えておられる根拠や理由を是非伺わせてください」

この質問を投げかけてみましょう。ここで見たいのは、もちろん「果たして本当に強みというだけのことはあるのか?」という見極めもあるのですが、もう1つの大事な見極めポイントになるのが、どれだけ自分を冷静に客観視して、ある程度論理的に評価できているかという応募者の「自己評価に関する判断基準」です。組織として困る部下タイプの1つが、自分自身やその仕事に対して、過剰な自己評価をしてしまう人で、そういう人は往々にして周囲に対してもあまり目を配れず、自分の中だけで物事を判断しがちです。そこで、この質問を切り口に語られる回答から、自己に対する客観視をどの程度適切にできる人なのかを掘り下げていく訳です。

この質疑で適切な自己評価軸を持ち合わせている人材なのかという部分は見極めつつ、そもそもの質問である「強み」部分についても面接側から見て<期待できそうな応募者の強み>として評価できるとなれば、次はこんな質問で話を展開しましょう。

「その強みというのは、どうやって身につけられたのですか?元々、素養は実感されていたのを意識的に伸ばされたとか、子供のころからそうだったとかいろいろあると思うので、そこをお聞かせください」

ここでみたいのは「そもそもどうやって身に付けたのか?」という質問通りの部分もありますが、より注目したいのは「結果的に伸びたことなのか?意識して伸ばしてきたことなのか?」というポイントです。ですから、質問する際には意図的に「意識的に伸ばされたのか?」というフレーズを入れる必要があります。
<結果的に伸びたこと><意識して伸ばしてきたこと>の違いは、成長アプローチの再現性が高いかどうかということに関係してきます。<いろいろと取り組んできた結果、気が付いたら自分は人よりもできる状態だったという人><自分の強みを認識してさらに伸ばす為の取り組みを行い、結果、ちゃんと伸ばした経験を持つ人>では、どちらが今後も自己成長に対して期待が高いかは言うまでもありませんし、当然、それが自ら実践できる人は、人に教える能力へも期待は高くなります。
中途面接の場合は、できれば「その強みを獲得した方法は、他の人にも教えて伸ばしてきた実績があるのか?入社後に、周囲に教えて共有することはできるのか?」も聞いてみれるとなお良しですね。

どうですか?面接質問の定番である「あなたの強みは何でしょうか?」も、こうやって広げることで全く違う素養の評価へ繋げることが可能なのです。

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