コラム:叱られたい部下

 
【叱られたい部下】がいるという事実。

管理職の皆さんはこれを信じることができますでしょうか?「本当に叱られたいと思う部下がいるわけないでしょう」と疑ってしまう方もおられるかもしれません。しかしながら、私もセミナーで話すのですが「叱られたい部下」は間違いなくいますし、驚くことにそれは少数派でありません。仕事柄、多くの若いビジネスパーソンと話しますが、若い人材ほど、心の中では経験の少ない自分の仕事ぶりが全部適切で正しいとは思っていませんし、日々「本当にこれで良いのか?正しいのか?」と迷いながら過ごしているので、上司や周囲からダメな事はダメだと時には厳しく指導して欲しいというのが本音なのです。人によっては、自分は仕事がデキるわけではないという自覚があるにかかわらず、指導やその中での叱られるという経験があまりに少なすぎると、「もしかして自分は必要ない、諦められている人材なのではないだろうか?」と行き過ぎた不安すら感じているようです。

また、その反面で上司が思う以上に冷静に上司を観ていて「うちの上司は私たちを叱るのは多分無理だろうな」と思っているようです。理由は大きく分けると2種類。それは「叱ることに慣れていないから無理だろう」と「そもそも叱ることができるほどに、自分たちのことを観てくれていないだろう」というものです。これは、上司としてはあまりに残念な話ですが、私もマネジメントをしている時に、実際に隣のセクションの若手から、そんな話を何度も聞きました(私は、必要な時には叱る上司だったのであくまで隣のセクションなのですが)。

様々な上司と部下の関係を観るにつけ、「●●ハラスメント」というキーワードが横行しているせいもあり、上司は「叱る」という事に少し過敏になりすぎているのではないかと思います。部下の成長や健全な組織運営を進める上でも、必要な時に「叱る」という指導アプローチが実践できることは上司の大事な役割です。もちろん、それであればと安直に目の前の部下を叱れば良いかというと、叱ってほしいという割には本当に厳しい接し方をするとダメになる若手がいるのも事実であり、上司がまた戸惑ってしまう要因にもなるのですが。。。

必要な時に適切に叱るにはどうすればいいのかポイントは3つ
・日頃からの人材育成に必要な上司と部下の信頼関係構築
上司と部下の適切な信頼関係ができていれば「叱る」は「自分の為にしてくれてる行為」として受け止めてくれます。「叱る」必要がある時だけに上司らしい振舞いを意識してもダメで、日頃からの積み重ねが重要です。また「同僚として仲が良いこと」と「上司として信頼されていること」は別物であるという理解も必須です。「あの人は人としてはとても良い人だし嫌いじゃないけど、上司としてはイマイチなんですよね・・・」こんな見方をされていてはいけません。

・感情発散である「怒る」と指導行為の「叱る」を混同しない
これは良くある落とし穴です。「怒る」は、上司がイラッとした感情を部下にぶつける行為に過ぎず、これでは問題解決の前に反発や嫌悪感を呼び起こしてしまいがちです。見極めの1つのコツは、その時に上司の心の中が冷静かどうかですね。また、上司は叱っているつもりでも、部下がそれを怒られていると感じていれば、それは怒っていることになると思った方が良いでしょう。上司の心持ちがどうかではなく、受け手にどう伝わるかは意識しなくてはいけません。

・問題指摘や責任追及ではなく、問題改善に目的をおいた関わり
責任の所在明確化も大事ではありますが、そこに終始し過ぎると話は停滞します。また、これをやりすぎると部下の人間性への非難めいた言葉を発してしまう上司もいますが、それは絶対NGです。「叱る」目的は、指摘や追求ではなくあくまでも改善にあることを心に指導を実践することが重要です。

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