コラム:組織力の強化ポイントとは

 

鎖の強度は、その鎖の一番弱いピースと同じ強度だ。他の強度がいくら強くても、弱い部分があればそこから壊れる ~ヨハン・クライフ

サッカーをご存知の方にとっては言うまでもない名選手であり、名監督でもあるクライフがこんなことを言っています。これを組織マネジメントに置き換えて考えてみると、人材育成・組織強化のヒントとして読み取ることができます。(完全な個人主義で構成される組織もあるので、正しくはヒントにできるケースが多いというべきかもしれませんね。)

この言葉を営業組織で考えてみますと、完全に個人商店集団となっている組織除いて、一般的な営業組織では誰かが大幅に予算未達成となる事で組織としての予算達成に大きなブレーキをかけてしまう事は多々あります。何故この話題を今取り上げているかというと、一般論で言えば営業組織にとっての鎖の弱い部分というのは、その多くが経験やスキルに伸びしろを持つ若いメンバーであり、時期的に言えば、新人がその最たる例だからです。新人や若手が一人前に立ち上がるまでは、上司としては組織としての予算達成の為には、先輩社員や主力メンバーに頑張ってもらうしかありません。しかし、少しでも早く若手メンバーを戦力化しなければ、目に見える部分でも見えない部分でも他にしわ寄せがいっている状態が続くために、決して良い状態とは言えません。

例えば起こり得ることとして、

  • カバーしてくれているデキるメンバーが疲弊してしまう
  • デキるメンバーへの依存度が上がり、逆効果としてそのメンバーにものが言いづらくなってしまう。
  • デキるメンバーが組織から抜けると危機的状況になる

こんなことが想定できます。もっと言えば、例にあげた3つは連動して発生することもありえますね。一部のメンバーへの依存があがることで疲弊した状況に追い込み「こんなに頑張っているのに」という想いが意図せずして利己的な行動を助長させてしまい、気に入らないことが起きると辞めてしまう。そして、突然抜けたメンバーが受け持っていた数字を残りのメンバーでカバーすることができず、予算達成の目途が見えなくなってしまう。。。

どうでしょう、容易に想像できる状況ではありませんか?
上司としては、こんなことが起きないためにも特定のメンバーにしわ寄せを生む状況を少しでも短期的に解消すべく、若手の水準上げを自分の責任の元においてしっかりと進めなくてはいけません。時期的な課題としては、やはり新人をいつまでに一定水準に育成するかを「計画的」に実践していかが優先度は高いでしょう。ここは「上司がコミットすること」がとても大事であるにもかかわらず、人材育成が上手く進んでいない組織は、新人育成が現場リーダーや先輩社員(都合よくメンターと呼ばれている若手)に事実上の丸投げになっていることも良く見かけます。(参考コラム:メンター制度)これは問題ありです。業務指導やロープレ、知識系講義などの実務は現場が執り行うにしても、上司としてその進捗状況やリアルタイムな課題ポイントを的確に把握し、目標とする水準へ到達させる時期からの逆算で次にどんな手を打つべきかは考えておかなければなりません。

今回は営業を例に上げていますが、他の職種組織でも似たようなことが十分に起こり得るでしょう。

  • 自分の組織において鎖の弱い部分はどこだろうか?
  • それは組織にどんな影響を与えているか?
  • その状態が続いた後、最悪どんなことが起こり得るか?

などを考えてみれば、上司として問題解決には何をすべきかを見えてくると思います。

また、冒頭の言葉を受けて考えてみる「組織の鎖が弱い部分」という観点では

  • 組織への不平・不満を常時周囲へ発している
  • 周囲が意見を言いづらい特定メンバー
  • 結果を出していればそれでいいというスタンスでいる

こんなメンバーも組織力を上げる上でネックになるリスクがありますから、上司として手を打てるよう日頃から現場をよく観ておきたいところです。

意味合いはよくわかるけれど、計画的な若手育成のノウハウが社内に無いという場合は、是非ご相談ください。普通の上司が当たり前に若手を育成するためのノウハウや簡単に実践で活用できるツールなどで支援させて頂きます。