コラム:育成に繋げる部下とのコミュニケーション

 
人材育成のノウハウ本や記事を読むと良く書かれているのが「部下とのコミュニケーションは大事です」ということですが、ここで言う「コミュニケーション」とは、具体的に日常行動としてどうすればいいのでしょう?ただ単に、部下とたわいもない話をすればいいのでしょうか?もちろん、基本的なところで部下と気軽に話をしていることは大事なのですが、それだけでは「育成」に繋がるコミュニケーションには物足りません。

では、「育成」に繋げる部下とのコミュニケーションとはどうすればいいのか?

言うまでもなく、状況に応じていろいろなやり方がありますが、今回のコラムではとても簡単なのに、実は現場ではあまり実践されていない「育成」に繋げる部下とのコミュニケーション術をご紹介しましょう。

取り敢えず、ノウハウ本のアドバイスに従って部下に話しかけてみることにしたとします。ベタですが、休みの日とか何してるんだろうかと話を聞いてみるとこんな答えが返ってきたとします。

コミュニケーション1

さて、この時、皆さんならこの部下を魅力的な部下に感じられますか?いろいろとトライさせれそうな可能性を見出せるでしょうか?おそらく、何も感じないという人がほとんどでしょうね。特に興味もそそられない普通な趣味だと思う程度でしょう。でも、ここで普通だねと話を終わらせてしまっては勿体ないのです。折角だからもう少し話題を引っ張って掘り下げてみます。

そこで、次にこんな答えが続いたらどうですか?

コミュニケーション6

しかも、その映画は割とマイナーながら皆さん自身が好きな映画だったとしたらどうでしょう?それだけで「なんだ、そうなのか?!君、話わかるねぇ」くらい思ったりしませんか?たった、これだけでそれまで何を考えているかわからないイマドキの若者と思っていた部下が少し違って見えてしまうかもしれません。

その他にも次々とこんな話が出てきたらどうでしょう

コミュニケーション2
年間200本?! 凝り性なんだなぁ。しかしどうやってそんな時間確保してるのだろうか?仕事場ではタイムマネジメントが得意に感じたことはないけど、もしかしたらうまくすれば時間の使い方上手い子なのかもしれないなぁ。

コミュニケーション3
ミニシアターの運営って、結構大変なイメージだけど、それを仕切ってただって?!もしかしたら、実はマネジメントセンスやマーケティング・企画力が高いのかもしれない。。。

コミュニケーション4
スポンサー開拓やってたの?!それも片っ端から飛び込みしてましただって?!あまり行動力あるイメージ無かったけど、新規開拓営業とかバリバリやれそうじゃないか!

こんな風に一歩二歩踏み込んだコミュニケーションを意識し、そこから得られる情報を元に部下にどんな可能性が感じられるかを上司が考えてみるだけでも全然違ってきます。

当たり障りない淡白なコミュニケーションでこれ止まりと

コミュニケーション1

意識した積極的なコミュニケーションでこれだけの情報を引き出せた見え方

コミュニケーション5

どちらも同じ人物にも関わらず、期待感が全く違ってきますよね?
こういうコミュニケーションこそが、「育成」に繋がる部下とのコミュニケーションと言えるわけです。ちょっとしたことですが、案外できていることが少ない。でも、明らかに部下の印象は変わりますよね?このノウハウの良いところは、要は上司の意識の問題なので、その気になれば今すぐにでも簡単に実践できてしまうというところです。ただ、先にも書きましたように忘れて欲しくないのは、こういったコミュニケーションをとった「だけ」で満足して終わらせない事です。あくまでもこのコミュニケーションの目的は部下の可能性を探る糸口を得ることにあって、会話から引き出し情報を元に部下にどんな能力が想定されるかをしっかりと考え、それが発揮できるような環境において成長機会を創る事までやってこそ、上司であるということを意識して進めてください。

人材育成のノウハウというのは、他のビジネスノウハウ同様に難易度の高いものもありますが、今回の例のようにちょっとした変化でその効果がガラリと変わるものがたくさんあります。まずは、上司である皆さんがすぐに実践できるけれど、今まで出来ていなかったノウハウを知って行動していけば、目の前の部下達が今まで以上に可能性に溢れた人材に見えてくるはずです!是非、トライしてみてください。

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