コラム:若手営業の観察力を養うアイデア

 
タイトルは「若手営業の」としていますが、実際は、中堅・ベテランでも観察力に課題を抱える営業担当はいますし、そこの出来る出来ないは結構な確率で営業成績とリンクしがちなのですが、今回ご紹介する指導アイデアはあまり中堅・ベテランに向けるのが馴染みにくいものなので、あえて「若手営業の観察力を養うアイデア」というタイトルにしています。

1 (7-1)これも当コラムで紹介している数々の事例や話と同様、実際に私自身が若手育成で実践して効果があった内容です。対象となるのは、自分の手元にばかり意識がいってしまい、周りに目を向けた仕事がなかなかできていない若手(多くの場合、新卒の入社半年程度も多くはこの状態でしょう)です。そんな部下に、少し顔をあげて周りを「見る」「観る」意識付けをしていく仕掛けなのですが、このアイデアのポイントは
◆ STEP-1 : まずは観察し気づく
◆ STEP-2 : 気づきにアクションする
の2段階に分かれているという事です。

STEP-1:まずは観察し気づく

【取り組ませる事】
毎日、客先訪問で何か仕事に関連しそうな気づきを<1つ>持って帰ってこさせ、上司に報告をさせる。
【解 説】
例えば、
● 客先の事務所内でホワイトボードに何かスローガンが掲示してあった
● 見たことないカタログがラックに追加されていた
● 社員さんがいつもと比べて明らかに忙しそうだった
こんな、上司自身が営業として客先で目にしたら気になるような事柄でOKです。場合によっては商談への移動中も対象としてもいいかもしれません。きっと、最初は収穫ゼロで帰ってくる部下もいるでしょう。そこで、上司が経験から例えばどういうところを観てくると良いかをアドバイスしてやれば良いのです。コツさえわかれば、徐々に勝手にネタを拾ってくるようになるでしょう。
そして、ネタを拾ってきたら、どうしてそれをピックアップしたのかという質問を必ずしてください。そこにある考え方は、多くの場合部下を育成指導するヒントになります。

あと、出来れば、外出時に1気づき、社内でも1気づきを課したいですね。ここはビジネスに繋がるとかではなく、とにかく何かに気づければOKです。
● 誰かが元気無さそうだった
● 誰かの身なりが素敵だった
など何でもOK。とにかく、上司に報告をしなくてはいけないという動機づけでも良いので、常に周りに関心を持つ状態を創りだして習慣づけしていく訳です。

STEP-2:気づきにアクションする

【取り組ませる事】
これは社外での気づきだけでOKですが、気づきを持ち帰ることがある程度できるようになってきたら、その気づきに対して何をアクションすべきか、何をアクションしたかを尋ねるようにしていきます。
【解 説】
「気づき」は、言うまでもなく気づいて終わりではそこに価値は出ません。その気づきで獲得した情報(ネタ)に何かのアクションをして初めて価値がでます。それを学んでもらう事と、まずは実践をさせるのがこのSTEP-2ということです。客先で目についた掲示物であれば、それについてちゃんと商談中にお客さんとの話題にして中身を聞いてきた(もちろん、それを次の提案に活用までできれば完璧です!)、知らない情報だったので帰社後に調べて勉強した、さらにそれは所内で発信共有したなどが代表的なアクション事例です。

★ 実施する上で大事なポイント

今回紹介しているアイデアを実践する上で大事なことは、やるなら【毎日やることを継続する!】ということです。最低でも2週間は絶対。できれば1~2カ月はすべきでしょう。見極めは、観察することが習慣づいたと上司判断できる状態になったかどうかです。あと、ネタ無しが許されるのは最初の3日のみで、以降は必ず報告させること。

何故、毎日なのか?

それは、その少しの追い込みが若手に常に周囲を観察することを意識させるからです。まずはそこからのスタートなのです。ネタがなければ、より一層目に入るものに意識を向ける事でしょう。まずはそうやって意識すれば気づきを獲得できる状態へもっていって、徐々に自然といろいろな事に気づける状態へとシフトさせていく大事な一歩だと考えてください。毎日の実践ということは報告を聞く上司も毎日報告を受けなくてはなりませんが、部下の報告を受ける為に上司が割く時間は大体5分程度でしょうから、そこは時間の投資として向き合ってください。対象となる部下が複数いるとその時間が膨らむケースもあるので、そこは臨機応変に中堅社員と手分けすれば良いと思いますが、それでも週に1~2回は上司自身が直接報告を聞けるようなローテーションを手配してください。

このアイデアは上司がしっかりと付き合って徹底すれば、かなり効果があがります。若手の観察力、周囲への関心を向上させたい方は是非実践してみてください!