コラム:会社から大事にされているか?-1

 
弊社では、組織や個人の営業力強化とあわせて組織活性・人材育成・人材活性の指導、支援でも多くの組織のサポートをさせて頂いており、その他でも各種専門家や異分野のビジネスパーソンと意見交換の機会も頂いているのですが、、ここ数年様々なところで機会があれば質問させてもらっていることがあります。それは、これです。

「自分は会社から大事にされていると思うか?」

いかがでしょう。
経営者ではない立場の皆さん、答えはどうですか?
経営者の皆さん、自社の社員の本音の答えはどうだと思いますか?

ちなみに、ここで言うところの「会社」とは誰?何?を指すのか。大企業で人も多ければ1つ2つ上の上司かもしれませんが、中小企業の多くではこの視点における社員の認識は「会社=社長」と考えてよいでしょう。

さて、話を戻しますと、私がインタビューする限りにおいては、先の質問に対する圧倒的に多い答えは「わからない」です。そして、次にくるのが「そうは思わない」であり、「会社から大事にされていると思います」という気持ち良い回答を得られることは残念ながら多くはありません。

この実態について、経営者ではない立場の人は「実際はそういう感じだろうね」という感想を抱かれているのではないでしょうか?一方、経営者の方は、この実態を意外に感じるかもしれませんし「うちは社員を大事にしているから、そんなことはない。大丈夫」と思う方も多いはずです。確かに、経営者の方々に「社員を大事にしていますか?」と伺うとほとんどの答えは「YES」なのです。でも、どこで質問をしても雇われている側から「私は会社に大事にされていると思います」という回答を得ることはなかなか多くないという実態があります。

そうなのです。ここには組織にありがちな問題点があります。

多くの経営者は社員を大事だと思っているのに、社員はそれを実感できていないという行き違い。これが良い状態か否かはもはや愚問でしょう。ましてや、中小企業の多くでは人材不足問題が慢性化している中、既存社員が「自分は会社に大事にされている」という実感が得られないまま働いているというのは、退職予備軍になっている可能性も否定できません。

では、なぜこのようなある意味不幸な行き違いが発生するのか?

  1. 社員にわかりやすい意思表示で伝えられていない
  2. 体感できる具体的な「何か」がない
  3. 与えている事と求めている事の間にズレがある

代表的な原因はこの3つでしょう。
それぞれの具体的な意味合いと当てはまる場合にどうすべきかについては、続きの【コラム:会社から大事にされているか?-2】で解説していきます。

余談ですが、私が大卒で入社した会社を約10年近く勤めて退職するという話になったとき、直属の上司であるマネージャーは、面と向かって「お前が辞めたら俺の評価が下がるから辞めるな」と言い放ちました。彼が部下というものをどう思っていたかは日頃から透けて見えていたので驚きもしませんでしたが、あまりにそのままな言い分に笑いをこらえるのが必至だったのを今でも覚えています。中間管理職クラスには「部下を大事にするという感覚」を欠いてしまったビジネスパーソンが存在するというのも、組織の残念なあるあるな話だとは思います。私は「こんな上司にだけは絶対になりたくない」という反面教師として大いに参考にさせて頂きました。今となれば、酒の席の笑い話です。