コラム:「できない理由」は「できる理由」

 

「言い訳をする頭で実行することを考えよ」

私の好きな言葉の1つでトヨタ生産方式を創りあげた大野耐一氏の言葉ですが、組織の現場では、何かを始めようとする時にすぐにあれやこれやと「できない理由」を口にする人がいます。頻繁ではないにしても、立場や状況に応じて誰しもが誰かに「できない理由」を訴えることは多かれ少なかれあるでしょう。そして「できない理由」を聞かされる側は、残念に感じたり、イラッときたり、時には戸惑ったりします。

マネジメントの立場で部下に指示を出す時に困るのが、部下が「できない理由」をあげてこちらの指示に抵抗(?)してくることです。上司からしてみれば、指示を出している段階で基本的にはその内容は実行しなくてはいけない度合いが高いケースが多いので、そこで「できない理由」を列挙されてもハイそうですかと取り下げるわけにもいきませんし、「いいからだまってやれ」というマネジメントスタイルはあまり推奨できるものではありません。

そんな時はどうすれば良いか?
実は、そんな状況も捉え方1つで変化させることが可能なのです。

「できない理由」があるから「できない」は見方を変えれば
「できない理由」がなければ「できる」となります。

つまり

「できない理由」は
この事情を取り除いたらできますよという条件なのです。

どうでしょう。非常にポジティブな捉え方に見えるかもしれませんが、冷静に考えてみればさほど無理矢理感は少ないとてもまっとうな受け取り方だと思いませんか?もちろん、部下があげてくる内容によっては対応できないものもあるでしょうが、基本的には上司ができる、すべきと思ったことな段階で物凄く無理な指示ではないことも多いので、そこにあてられる「できない理由」も取り除くことがさほど難しい物があがってくるわけでも無いのです。それに、そこで取り除くのが難しい事情が出てくるのであれば、その指示自体見直したほうがいいですよね?

ですから、私自身もマネジメントをしていた時は
「できない理由はそれを取り除いたらできる理由になるからそれも含めてどう思うか意見をちょうだい」とよく言っていました。

そして、できない理由を取り除くことができたら一言
「さ、できない理由もなくなったし、できるよね?」

そもそもで、すべきことに対して部下が全力で取り組める環境を整えるのも上司の仕事ですから、部下のあげる「できない理由」に安易に感情を動かすことなく、落ち着いて上司としてしかるべき手配を行い建設的コミュニケーションかつスムーズに事を運んでいけるに越したことはありませんよね。