コラム:「差」と「違い」

 
少し時間も経ちましたが、ロンドンオリンピック女子サッカー代表の銀メダルという快挙は、本当に素晴らしい結果でしたね。以前に読んだ女子サッカー 宮間あや選手(今回、あのチームでキャプテンを務めましたね)のインタビューに興味深い内容がありました。

宮間: 昨年のワールドカップのような運も必要ですし、運をたぐり寄せるための努力も必要だと思います。そのうえで、日本とアメリカとの間にあるのは「差」ではなく「違い」だという発想が大事になるでしょう。たとえばフィジカルを差ととらえてしまうと、アメリカのようにフィジカルの強いチームを目指さなければならない。それでは、いつまで経ってもアメリカの上にいくことはできません。佐々木監督がいま私たちに浸透させているサッカーの質をさらに上げていけば、結果はもちろん内容でもアメリカに勝利できる日が必ずくると確信しています。~“二宮清純「フットボールの時間」”

「差」と「違い」に対する見方。

何気なく使っていると、この2つの言葉は混同してしまいがちですが、こんな風な考え方をするとそこは明確に違いがでてきますね。例えば、弊社のお手伝いをしている営業力や育成にに当てはめてみると・・・・・・戦略の場合、「差」を埋めることが最短距離になるケースもありますが、同じフィールドで勝負してしまうために、レッドオーシャン化を加速してしまうリスクもあります。

それに対して「違い」で勝負すると、独自性を発揮できる可能性もあり、少し時間がかかっても、中長期では圧倒的な優位性を手にすることもできそうですし、それが競争相手に真似が出来ない要素であれば言うことはありません。マネジメントは、そういった部分をちゃんと分解して戦略を立てなくてはなりませんね。

メンバ育成の場合、一定の基準スキルに「差」があるのであれば、それはしっかりと指導して埋める。

つまり、引き上げてあげる必要性がありますが「違い」にフォーカスするというのは、長所を伸ばす育成指導に近くて、そうすることにより、本人に自信を与えやすくなるというメリットがあります。ここも、通り一遍の育成手法を振りかざすのではなく、メンバの現状を良く見て、どのように指導をするかを見極める力が、マネジメントには求められます。こうやって、考えてみるとこの「差」と「違い」という切り口は他の場面でもヒントにすることができそうな気がしますね。