コラム:営業ツールとしてのメール

今の世の中は、デジタルツールが発達して、私が営業最前線にいた頃にはまだあまり活用されていなかったメールも、今や当たり前のように営業ツールとして活用されています。日常生活でも、自分たちの親世代ですらメールやLINEを当たり前のように使っていて、一昔前と比べて隔世の感があります。

巷では「欠勤などの業務連絡をLINEで済ませるのは、アリやナシや」という議論(?)もあって、それはそれでなんだかなぁとも思うのですが、メールやLINEに代表されるコミュニケーションツールにもツールである以上TPOはあるにもかかわらず、物心ついたころからそういうものが当たり前に使われる状態にあるいわゆるデジタルネイティブ世代の人達の中には、そこのTPOの線引きや使い分けが上手く理解できていない人も多く感じます。そういった背景もあり企業側でも、新人教育などでSNSの使い方も含め最初にこのあたりをしっかりと指導するようにされているケースも増えつつありますね。

とまぁ、前置きが長くなりましたが、営業ツールとしての「メール」というものについて、最近、立て続けに気になる事があったのでちょっと書いてみます。

thum110こういう仕事をしていますと、HP関連や広告関連の企業様より営業連絡がありまして、未だ電話も多いのですが、「突然のメール失礼いたします」というテンプレート的文章から始まるメール営業というものも少なくありません。大体の場合、営業側からすると弊社は新規開拓になるのでいわゆる若手営業の方よりのコンタクトになるのですが、非常に丁寧な文面でのコンタクトメールで1stコンタクトをしてくるにもかかわらず、こちらが丁寧に「今のところ予定が無いのでまたの機会に」と返信すると、それに対して全くレスポンスがないのです!!営業という立場で考えると、これはとんでもない事なのですが、ちゃんとした返信があることの方が圧倒的に少ないのが実態です(少なくとも弊社にコンタクトしてこられるケースは顕著です)。これは、営業コンサルさせてもらったら相当役に立てるなぁと思いつつ、そもそもその実態を上司の方は把握しておられるのだろうかと老婆心が顔を出してしまいます。

基本的には営業がお客様(見込み先も含め)とメールやりとりをするのであれば、最後は営業からのメールで一連のやり取りは終わるよう心掛けるのが基本ですし、ましてや営業メールなどスルーされることが多い中で返信をくれたことに対して、無反応などあり得ない話しです。しかし、そういう人たちは残念ながらそれが機会損失に繋がる重大な間違いなのだということをきっと知らないのです。これはある意味、上司の指導不足と言ってもいいでしょう。間違っても、うちは大丈夫という過信は禁物ですから、一度フォローしてみることをオススメ致します。

また、ビジネス文書としての最低限の言葉使いができているかということもしっかりと見ておくべきです。時々、指導先で若手のメールを読ませてもらってあまりの内容に驚くことがありますが、そういう時は多くの場合、上司の方も一緒になって驚かれます。「大丈夫だと甘く考えていたけど、これはまずいですね・・・」というお言葉何度聞いたことか。私は、マネジメント実務にあった頃は若手の言葉使い要注意部下については一定のレベルになるまでメールもFAXも一度私が目を通してからお客様へ送るようにしていました。少し手間はかかりますが、完全なるOJTなので「正しい日本語の使い方」のような本を読ませるよりも格段に学習効果の高い方法です。

忙しくてそんなことまでやってられないというお声も聞えてきそうですが、それでクレームを起こした時の手間や正しいやりとりを積み重ねられるようになった若手が獲得してくる受注を考えれば、今を戦う上司の皆さんにとっては時間の投資と捉えてやるべきことなのです。