コラム:返事だけは調子が良い部下

 
毎年、この時期は新人研修で大変な組織も多いと思います。新しい知識を短期間で習得する方も大変ですが、それ以上に教える方も大変ですよね。そんなこの時期に良く聞こえてくる上司や先輩の不安なつぶやきが

「返事だけは調子良いんだけど、本当にわかってるのかなぁ・・・」

いかがでしょう?結構な人が「あるある(苦笑)」と思われたのではないですか?これは、新人の研修指導時に限ったことではなく、部下の指導シーン全般でもあてはまることだと思います。こんな話を聞いた時によく質問するのが「で、その心配な部下にはその後何かしましたか?」ということなのですが、「いや特には」とか「しばらく様子を見ようかなと・・・」いう回答が多いですね。でも、これは止めた方がいいですよ。気になっている時は結構な確率でその心配が的中することは皆さんよくご存じなはずです。そして、そのリスクがある状態を何も手を打たずに放置するのはやはり良くないのは言うまでもありません。また、様子を見ますとは言っても、皆さんがその部下の行動をずっと見続けるわけではありませんから、見ていない時に何かあっても気付けないので、問題が先送りされたり悪化したりさえ懸念されます。

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では、そんな時どうすればいいのか?

調子が良い返事をする心配な部下にこんな質問をしてみましょう。

「今、私が話した内容はわかった?理解した?」
「では、どういうことかちょっと私に説明してみて」
「なるほど、じゃこれって何の為にやるんだっけ?」
「まずは君は何から行動をすべきかな」

残念ながら皆さんの心配が的中し、あまり理解もできていないのに返事だけ調子が良かった部下は、まず間違いなくこの4つの質問への回答のどこかで躓きます。これは私の経験上ほぼ間違いありません。なんとなく言ってることは外れてないけど、微妙にニュアンスが違ったりすることもよくありますね。これを全体で話している場でいつも実践すると、質問されている部下ではない周囲の部下にもうちの上司に迂闊に適当な返事をするとマズイぞという意識も芽生えてきます。

ただ気を付けたいのは、ここで回答がおかしかった時に厳しく叱ったりして、追い込むような対応はしないということです。「本当は分かっていないのにも返事をしてしまっている」のは、若い人材ほど悪気はなくて本人は本当に分かったつもりになっている傾向にあります。ところが、こうやって改めて上司や先輩に自分で口で説明することを求められた時に、実は自分がちゃんとわかっていなかったことに気づくというのが実際なので、そこで叱責をしても意味がないのです。仮にイラっとすることがあってもそこは堪えて、まずはちゃんと正しい理解をさせることに重きを置き、改めて話をするように心掛けてください。軽く「君はいつも返事だけは調子いんだよなぁ~(苦笑)」くらいのチクっとやるくらいはいいのですが、「だからお前はダメなんだ!」のような叱責は上司自身がスッとしても、ほとんど良いことはありません。そんなことをしなくても皆の前で適当な返事をしていたことを指摘されるだけで十分注意喚起になりますし、それで反省できない部下はきっと怒鳴ったところであまり意味はありません。

まずは、返事が気になる部下には4つの質問。
実践してみてください。

ちなみに、皆さんが何かを伝えた時、聞き手側では実際には3つのStepが発生します。

1-言ってる内容が理解できる
2-言ってる内容に納得できる
3-言ってる内容を実践するイメージが持てる

これに関連したコラムはこちらにありますので、よろしければこの機会で是非ご一読ください!
こちら→→コラム:「伝える」と「言う」は違う