コラム:新人との対話

 
今年、新入社員を受け入れた組織の皆さんは、1カ月も過ぎ少し環境にも慣れ始めた若手たちを、いよいよ具体的にどう育成していこうかと思案し始めるのが、5月の連休明けのタイミングなのではないでしょうか。連休明け無事に出社してくるだろうかと少し心配だったり、もしかしたら新入社員の受け入れが久しぶりだという組織であれば、受け入れ側もまだまだ戸惑いと試行錯誤の真っただ中かもしれませんね。

今回は、新人の職場定着を実践するうえでも大事になってくる新入社員を受け入れた時に意識をして対話するタイミングについて少し書いてみます。

【第1のタイミング:4月末】

社会へ出ての最初の1カ月というのは本当に様々な環境が劇的に変化しますが、とにかく毎日を必至で乗り越えて少し気持ちにもゆとりが出て始めるこの4月末は、ちょうど新人がいろいろと考えてしまう最初のタイミングです。「ああ、この会社に入って本当に良かった!」と感じてくれていれば全然問題ないのですが、慣れない環境や人付き合いに馴染めなかったり、思った以上に出来ない自分を突きつけられたりで、このままやっていく自信や時には今のまま働き続ける意味を見失いやすい典型的な最初の時期がココと言えます。上司や先輩である皆さんはそれを乗り切ればどうなっていけるかをご存じのはずですが、それは経験があるからわかることであって、新入社員が自分で考えて前向きに捉えていくのはなかなかハードルの高いことです。ですから、是非、職場の新人たち(直属ではない人へも含め)に声掛けて、話を聞いてみてください。声を掛けてもらっても素直に気持ちを発信できない人もいます。そんな時は、4月1日からのここまでの期間で表情や纏う雰囲気に少しネガティブな変化が出てないか周りが新人を良く観てあげましょう。

【第2のタイミング:5月の連休明け】

新入社員との対話を意識すべき第2のタイミングは5月の連休明けです。「いやいや、直前の4月末にも話しをとさっき書いてあったじゃないですか」と思われるかもしれませんが、実はこの新入社員にとっての初めての大型連休というイベントがポイントなのです。地元外の就職だった場合は、多くの場合、このタイミングで地元に戻り同級生たちとの飲み会などに参加します。地元就職であっても、外へ出て行った同級生が戻ってくるのでやはりこの時期に同級生の集まりが開催されやすいのです。
では、その場で、どんな話題が中心になるか?言うまでもなく、働き始めての互いの報告であり、働き初めての気付き、不安、悩み、愚痴などなどが大きなトピックスです。私もかつてそうでしたし、上司、先輩である皆さんもきっとそうだったはずです。そして、彼ら彼女たちは、意識的にも無意識的にも様々な環境の同級生の話と自分の今を比較して聞くことになります。同期が少なければ少ないほど、今の自分の環境を他と比較してみることができないので、同級生との集まりというのはまさに格好の場と言えるでしょう。安心する人、隣の芝が青々と見えて仕方なくなる人、自分は恵まれた環境だったんだと気付く人(出来ればそうあってほしいですよね!)、いろんな受け止め方をすることでしょう。上司の皆さんは連休明けのタイミングでまさにこの「休み中に同級生たちと話してみて何を感じたか?」を聞いてみてあげてください。

連休中は同級生たちと飲んだりした?から始まり
・率直に感じたこと
・みんなどんな話をしていたか
・それを聞いてどう思ったか
・自分と比べてみてどう感じたか
・同級生と話してみて改めてどう行動しようと思ったか
などなど・・・・・。

別に堅苦しい打ち合わせ形態にする必要はなく、連休明けに久しぶりにあったし一緒にランチでも食べながらで十分です。これは、どんな話をしてきたか把握(管理)しましょうという話ではありません。そんなことに意味はありません。大事なのは、働き始めて最初の心持ちがまだ落ち着かない時期に、同世代と本音で話してきた中で若手が何を感じてきたのかを共有してもらい、改めて本格的なスタートに際しての指導や関わり方の参考にするのです。何か不安が増しているようであれば、不要な不安は対話で取り除くべきですし、何か気持ち新たにしてきたのであればそれを共有し、背中を押してあげる。そんな対話にしてみてください。皆さんのこの時期を思い出して体験談を話してあげるのもきっと参考になるはずです。

上司や先輩の一言や関わり方で気持ちが救われる若手はきっといるはずであり、このタイミングで上手にフォローを入れることが出来るかどうかもまた、若手の職場定着に関係があるのです。