コラム:部下の褒め方という育成スキル-2

 
【育成スキルとしての部下を褒める-1】に引き続き、その2です。

前回は【褒めるポイント】について書きましたが、今回は【褒めるタイミング】について。

褒めることは、部下を育てるには大事だからと,のべつ幕無しにやたらと褒めるようではいけません。何事にも、タイミングというものがあるのはこの褒めるという関わりについても例外ではありません。

同じことについて褒めるにしても、然るべきタイミングをちゃんと踏まえることでその効果は変わってくるのです。例えば、自信を持てていないメンバは小さなことも都度褒めるけど、少し自信過剰だったりもっとできるはずのメンバに対しては、少々のことでは、あえて褒めることをしない。結果として、1つ1つの積み上げを上司が認めてくれることが、徐々に本人の自信になっていったり、期待してくれている上司に認められたい、褒めて欲しいという気持ちが大きなモチベーションになったり。

これもタイミングの使い分けです。

ちなみに、褒めるをおあずけする時、気をつけて欲しいのは、ちゃんと部下にそれを一言伝えておくということです。何も言わないと「上司は自分を見てくれてない」と不安になってしまいます。(この【上司が見てくれている感】はとても大事なのでまたいずれ)

「君の今回の結果はちゃんとみてるよ。でも、君には期待しているから、まだこの程度では褒められない。まだまだできるはずだから、その時までお預けだね」こんな感じで少し伝えるだけでも随分と違いますよ。

また、部下があなたが求める「ここまではできるはず」のレベルを理解できてないなら、それを示してあげることも忘れてはいけません。ここが部下と握れていないと単に認めてくれないだけの上司と思われかねません。それは、お互いにとってもとても不幸なすれ違いですからね。

他の例では「褒める」は比較的結果に対してのみになりがちですが、結果が出る前のプロセス過程で褒めるのが効効果的な場合もあります。例えば、新しい事に挑戦しているケースなどがそうで、新しいことは、なかなか上手くいかないことも多々あります。しかし、まず大事なのは新しい事に挑戦している姿勢そのものです。

結果云々の前に、その【挑戦】や【挑戦の手法自体】を褒める。結果が良くても悪くても、事前にそのプロセスを先に賞賛することで、思い切ってトライを続けることの背中を押すことができます。最終的に上手くいけば、重ねて褒れば良いだけですし、。残念ながら上手くいかなかった場合は、どうすれば良かったかの前向きな話を一緒にする。この積み重ねが、部下が挑戦することに意欲的な下地を作ります。

このようにベストなタイミングで褒める為には、日頃から、部下のことを見守っている必要があります。注意、関心を払っているからこそ、褒め時が見極められるのです。

・部下が多いからなかなか難しいなぁ
・わかっているけどその時間が取れない
・なんか大変だなぁ。。。。。

中にはこんな感想を持たれる上司の方もおられるかもしれません。
しかし、人材育成を進めていきたいと考えているのであれば
そういった後ろ向きな捉え方は改めるべきです。

上司が褒めてくれない理由が、さっきのようなものだと知った時、そんな上司に部下が良い感情を持つか想像してみてください。きっとその上司の言葉も、上司としての力量も信頼してくれないでしょう。上司と部下の信頼関係なくして適切な人材育成はなしえないことを思えば、何故、考えを改めるべきなのかはご理解いただけるはずです。

このように「褒める」も上司の人材育成スキルとして見ると、「いつ」「何について」「どのように」褒めるのがベストなのか。といったように様々な注意ポイントがあります。褒めるという関わりはメンバのモチベートには不可欠なものだけに、たくさんの引き出しを持っておきたい上司の能力の一つです。

褒め上手がマネジメント上手と必ずしもイコールでは無いと思いますが、少なくとも人を上手に育てている人や組織マネジメントが上手い人は、総じて【褒め上手】です。【褒めること】のポイントは今回私が言及した2つが全てではありませんが少しでも皆さんが褒め上手な上司になるヒントになれば嬉しいですね。

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