コラム:1on1ミーティング成功の鍵-2

 

前回の「コラム:1on1ミーティング成功の鍵-1」で「人材育成や組織創り、マネジメントに有効な「1on1ミーティング」を実践するには、上司と部下の信頼関係が出来ている状態にあることが非常に大事であると締めくくっていました。後編のこのコラムでは、上司と部下の信頼関係を創る。もしくは強化していく為に上司(管理職)として、どう考え、何から実践していくべきかということについて書いていきます。

人材育成や組織創り、マネジメントに有効な「1on1ミーティング」を実践するには、まず何よりも上司として部下に関心を持つことが不可欠です。少し大げさに書くならば「部下に対して、心から人としての関心をもつ」ですね。本当はそんなに興味もないけどとか、どっちでもいいけれど、上司は部下に関心を持てと言われたからという気持ちは接している相手に見透かされます。「いやいや、そんな無理に私に関心あるフリしなくてもいいですよ」なんて部下に思わせてしまっては、上司と部下の信頼関係を構築する以前の問題です。皆さんも逆の立場で考えてみれば、そんな関わり合いゴメンですよね?部下からすれば、上司という立場だからという理由で上辺のコミュニケーションをとってくる上司は最悪です。中には、部下の「仕事の成果」にだけ関心があるという人もおられますが、言うまでもなくこれも褒めらることではありません。何も関心が無いよりはマシでしょ?というのは、より良い人材育成や組織創り、マネジメントを実践する上ではお門違いな比較です。

次に部下に対して、心から人としての関心をもつ」というこの心持ちを軸として、「関心を持つ」というのを具体的な行動に反映させていくには何から始めるのが良いのか?私がセミナー研修で部下との信頼関係を創る上で最も簡単な第一歩の取り組みとして推奨するのが【挨拶】です。毎日、出社と退社のタイミングで、部下の顔を観て「おはよう」「お疲れ様」と声を掛ける。挨拶すらしないは無しですし、パソコン画面や書類を観ながら目線を送らずの挨拶も無しです。「今更、そんなこと?」と思う方もいるかもしれません。そんな皆さんに、質問です。

・今日の朝一番、部下と顔を観た挨拶をしましたか?
・その時の部下の「表情」は、今、鮮明に思い出すことができますか?

これは、弊社の管理職向け人材育成スキルセミナーでは定番の質問なのですが、部下の表情が鮮明に思い起こせる方は参加者の半分もいれば良いほうというのが実態です。この状態が決して良いとは言えないことは既におわかり頂けますよね?昨今、人材育成において「承認」が大事であるという事はもはや常識として広まっていますが、「挨拶」というのは最も初歩的な承認行動の1つで、「存在承認」に区分されます。何事もそうですが、基本をきっちりとおさえることは重要なポイントです。だからこそ、忙しさの中で優先度を下げられがちな「部下との挨拶」習慣化を推奨するのです。実行に移すならば、気が付いたら実践をしてみるのような中途半端な取り組み方ではなく、毎日徹底することは言うまでもありません。私も、部下を持った時に最初に取り組んだのはこの挨拶の徹底でした。しかし、基本の徹底というのは大したものでして、毎日続けていると、部下のちょっとした変化が見えるようになるのです。継続しているからこその【成果】ですね。

毎日【部下の顔を観ての挨拶】が習慣化すれば、次に上司と部下の信頼関係を創るために取り組んでみて欲しいのは、信頼できる上司像の体現です。部下が上司に対して信頼に足る人物であると認識する判断基準は【①-自分に対するかかわり方】【②-上司の日頃の言動】です(一般的に人が他人を信頼できる人物であると認識する時と概ね同じですね)。自分に対するかかわり方(-①)はまずは先に提案した【部下の顔を観ての挨拶習慣化】からスタートし、その後、部下とのコミュニケーションを意識的に増やしていきながら、部下の考えていることや、興味、関心事などを知っていけば積みあがっていくでしょう(この部分については、また別途改めてコラムにまとめたいと思います)。

もう1つの【②-上司の日頃の言動】は、いろいろな方法はあります。最もストレートな手法は、部下に「信頼できる上司像はどういうものか?」を聴いて、それを実践していくというものかもしれません。ただ、そもそもで信頼関係を改めて創り上げる前段階や過程では、そういう話題について本心を聞き出すこと自体が、まだ簡単ではないずなのでこの手法は選びにくいはずです。そこで、お勧めな手法を紹介しましょう。

まず皆さん自身が自分にとって「信頼できる上司の理想の条件」を8つ考えて箇条書きに書き出してみてください。これは完全なる独断と偏見でOKなので、とにかく自分の考える理想的な信頼できる上司像を一度言葉にしてみるのです。ご自身で言葉にまとめ書き出したとはいえ「理想像」ですから、「自分はそれが体現できているか?」を改めて内省してみると、半分以上は出来ていないという結果になる人が多いのですが、そこは一旦気にせずにおいてください。その代わり自分の価値観の中らから8つ書き出した「信頼できる上司の理想の条件」について、まずは自己申告で十分体現できていると胸を張って言えるように、日常で意識して取り組むようにすれば良いのです。期間は半年以内には、全てすべて実現できているくらいは目指したいところです。

何故「まずは自己申告」でという段階的基準を設けているのか?それは、最終的な判定基準は自分ではなく、相手にあるからです。つまり、今回のテーマから言えば「皆さんの部下」からみて、体現ができている状態にあるか否かが最終ゴールということです。いくら上司が「私は出来ている!やっているだろう!」と思っても、部下の認識が「NO!」では不十分。皆さんの上司が同じように「私は信頼できる上司たる行動を出来ているだろう!」と仰っても、皆さんに目にそうは映っていなければ価値が無いことと同じ考え方、視点です。もしかすると、皆さんと部下ではキャリアや年齢に違いや差がありすぎて、言葉に落とした理想の上司像にギャップはあるかもしれませんが、その根底にある考えや軸、思考などに大きなギャップは無いはずです。ですから、上司である皆さんの考える「信頼できる上司の理想の条件」であっても、それについて部下の基準で「うちの上司は体現している」という認識を持ってもらえていれば、部下にとって「信頼できる上司」に近い状態になっているはずです。そこまでいけば、部下の考える「信頼できる上司の理想の条件」について考えを話し合うことも可能な関係性は積みあがってきているはずです。

この話の大事なポイントは「上司が自分の言動を客観視する」ということにあります。

・自分の言動は部下にどう映っているか?伝わっているか?
・自分の上司が、もし自分と同じようなことをしていたら自分はどう思うか?感じるか?
・自分だったら上司にどんなことを期待しているか?求めているか?
・それは自分は部下に対して実践てきているのか?

上司という立場になると、こういった基本的な内省に時間を取れていないという人がたくさんおられます。しかし、一度立ち止まって、ちゃんと考えることさえ忘れなければ、本来どうすべきなのかという改善策は、キャリアを重ねてきた皆さんであれば、十分も考えることができるはずです。


コラムのテーマからかなり膨らんだ内容を書いてきましたが、こういった日常行動を積み重ねて上司と部下の信頼関係を創ることができれば、「人材育成や組織創り、マネジメントに有効な「1on1ミーティング」を実践することは難しくない状態になり、躊躇せず部下と今までよりも一歩踏み込んだコミュニケーションをとることに自信もついてくるでしょう。

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