コラム:自ら考えて動ける部下-2

 
前回の「コラム:自ら考えて動ける部下-1」では、人材育成に課題を抱えている多くの組織において「自分で考えて動ける人材」なかなか育っていないのは、実は上司がこの「自分で考えて動ける人材の育成」課題について、理由・原因を把握してないケースが多く、まずはそこから着手することが重要であるということを書かせていただきました。

今回は「それはわかったけれど具体的にどうやって「自分で考えて動ける人材」へと成長しきれていないかの理由・原因を探ればいいのかわからない」という方の為に、その方法を解説いたします。「上司の見解として、期待するような自ら考えて動くが実践されていない現状」についてコミュニケーションの第一歩として部下に質問すべきことは

「どうして、自ら考えて動けないのだろうか?」

では、ありません。どちらかと言えば、この質問はあまりオススメしません。何故なら、そもそも部下は「自ら考えて動いているつもり」というケースも十分にあるからです。やっているつもりの本人に対して、上司から「どうしてやらない?」のとある意味決めつけた否定の問いかけをされると、ここで気持ちがこじれる場合もありえます。(ここで、面倒くさいな…と思っていてはダメですよ)

ではどう始めるかですが

「私としては君に自ら考えて動くをもっと実践して欲しいのだけれど、そもそもで君の中では自ら考えて動くというのは十分に実践できている認識だろうか?」

この切り口です。「もっと~」で「現状で出来ていないとは言わないけれど・・・」のニュアンスを、「十分に~」で「さらに実践する余地は感じてないか」のニュアンスを含ませることで、入り口から否定のニュアンスを取り除きます。これでまず認識がずれていないかの事実確認から始めるのがコツです。「自分で考えて動くが実践できていない」と一概に言っても、その理由は様々なのです。その理由の、簡単な分解を以下に挙げてみます。自ら考えて動ける部下

「自分で考えて動ける」を「自律行動」と表現してありますが、「自分で考えて動ける」が上司の期待通りに実践されていない理由というのは、こんな感じでわかれています(もちろん、細かく言えばまだまだ細分化はできますが)。どうでしょうか、さらに少し深堀りしてある本当の本当の理由部分でも、こうやってご覧いただいても無理があるものは無くて、概ねありえる理由が並んでいると思いますし、そこに合わせた解決アプローチができていないから、なかなか解決の目が見えてこないわけです。しかし、ここまで理由が見えてくると大分どうすればいいかは見えてきますよね?

全体のコミュニケーションの流れはこんな感じでいけるでしょう

  • 自律行動の不足について、その認識があるかないか?
    ⇒自律行動しているつもり
    ・例えば最近で言えばどの行動が該当するのか
    ・上司として最近の物足りないと感じた事例の提示
    これらをもって、求めるレベル感の摺合せに落とし込む
    ⇒自律行動は不足している
    ・あえて自律行動していないのか、わかっているが出来てないのか
    ここの仕分けは非常に大事なポイントです!
    ・前述の仕分けができれば、あとはその理由を掘り下げばOK

これを話し合ってすり合せるスタンスで進めてい行けば、理由の解明は進むはずです。「自分で考えて動ける」部下の育成に課題を抱えておられる皆さんはぜひお試しください!

あと、この話をする場合は、部下に対して物足りない物足りないとダメ出しの話をするのではなく、期待をしているからもっと行動して欲しいと伝えていくことも、継続的な「自分で考えて動ける」を促していく動機づけの1つになりますよ。