コラム:良い結果に再現性を持たせる

 
前回までの【コラム:結果振り返りの重要性】(←LINK)で全3回にわたり、少しでも質の高い仕事を継続的に実践する為には「一定期間の結果(成果に)に対して、より良い次へと改善できる効果的な結果の振り返り実践が重要である」ということについて解説をしてきました。今回のコラムは当初「結果振り返りの重要性-4」にするつもりだったのですが、内容を鑑みてタイトルを新たにつけることにしました。

【コラム:結果振り返りの重要性】で対象としている「結果」は、目標とすることに対して良くない、もしくは不足があった場合を例としていまいした。思うような結果が得られなかった場合は、適切な結果の振り返りは不可欠ですよという話です。ただ、これまでの3回のコラムでは触れてはいなかったのですが、実はもう1つ、同じように大事な結果の振り返りをすべきタイミングがあります。

それは【良い結果、特に期待以上の結果が出た場合】です。

これまでの3回にわたるコラムで解説してきた「結果の振り返り」の目的は「良くない結果を繰り返さないようにし、より良い結果を出す」ことでした。しかし「より良い結果」を出すために「良くない結果を繰り返さないこと」と同じくらい、むしろもっと大事なことは「良い結果を【意図的】に繰り返す(再現性を持たせる)」ことで「より良い結果」を出すということです。その為には、良い結果に対しても

・なぜ、そのような良い結果を出せたのか?
・成功体験(手法)を再現させる鍵は何か?

を振り返り、何度でも意図的に良い結果を繰り返すためのポイントを押さえることは不可欠です。期待以上、想定以上の良い結果が出たのに「どうしてそうなったのかよくわからないし、また同じことができるかどうかはわかりません」というスタンスは、ビジネスパーソンとしてあまりにも勿体ないし、残念過ぎます。良い結果を出せた時にこそ、その鍵となった要素を整理して、同じ結果を「意図的」に繰り返せる状態にする。そして更には、他の仕事にもその成功の鍵となる要素を移植して、全体的に良い手法を広げていく。これこそが、理想的な結果の振り返りです。

良くなかった結果に対して、より良い次へと改善できる効果的な結果の振り返り実践のコツとなる4つポイントは

①-良くない結果となった主要因1~3個を行動プロセスから抽出する
②-①の主要因はそれぞれ本来はどうあるべきだったのか?
③-②のそれぞれはどうして十分に実践できなかったのか?
④-①~③を踏まえて次の期間は具体的にどのように行動するのか?

と解説してきましたが「良い結果に再現をを持たせるための効果的な結果振り返り実践のコツ」となるポイントは3つです。

①-良い結果となった主要因1~3個を行動プロセスから抽出する
②-①の主要因はどうして実践できたのか?を検証する
③-②を踏まえ①を実践すれば良い結果が再現できそうか検証する

この③で、うまくいくイメージが十分持てるのであれば、OKです。もし、それだけでは再度良い結果を出せるイメージが持てないようであれば、①で抽出した要素以外にもっと鍵となる要素が眠っている可能性が高いので、再度①を件検証し、同じように①~③の振り返りを実践してみると良いでしょう。あとは、③で良い結果が再現できるイメージが十分持てるなら、行動するだけです。

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ここまでは、個人レベルで良い結果に再現性を持たせる視点で解説していますが、本コラムを読んでいただいている皆様が管理職もしくは管理職を目指す方であるなら、個人の良い手法をいかに組織としても取り組める状態にし、実践させるかということまで意識しなくてはなりません。組織として継続的により良い結果を上げ続けるうえでは、これは不可欠な要素です(ただ、これを上手にできている組織は少ないのが現状なのですが・・・)。

個人の成功事例を組織へと展開する為に、上司が考えるべきポイントは、先にあげた「良い結果に再現をを持たせるための効果的な結果振り返り実践のコツ」となる3つのポイントの①と②の部分を、部下全員が実践できる状態にするにはどうすれば良いか検証するということです。良い結果を出せた人が、組織の中でもレベルが上位の人だった場合、平均的なレベルにある人には簡単に真似ができないケースも十分にありえます。ですから、そこで「どうすれば皆も実践できるようになるか?」を考えるのです。当事者に勉強会を開いてもらう、何かのツールを作成するなど、ケースによって解決方法は様々です。大事なのは、上司として組織内に生まれた個人レベルの成功事例という財産をしっかりと組織内へ横展開させることを責任もって実践するということです。

当事者にまだ自己分析力が十分備わっていなかったり、俗にいう「感覚営業」的な仕事の仕方をしていると、本人では先に上げた「良い結果に再現をを持たせるための効果的な結果振り返り実践のコツ」となる3つのポイントの振り返りを求めても「わかりません」という結論になるかもしれません。しかし、ご存知のように、良い結果も悪い結果もそこに至るには必ず何かの原因となる要素があります。ですから、本人が適切に振り返りができないのであれば、上司が責任をもってその役割を果たすか、できるようになるサポートを行い、必ず「結果に対する適切な結果の振り返り」が実践できるようにしてください。

ということで、【コラム:結果振り返りの重要性】(←LINK)の3回と本コラム合わせて全4回にわたり、「一定期間の結果(成果に)に対して、より良い次へと改善できる効果的な結果の振り返り実践が重要である」の解説でした。前回の締めにも書きましたが、ぜひ、皆様の組織でも実践してみてください!