コラム:良い会社(組織)を判断する1つの視点

 

【問】あなたは身内や大事な友人の勤め先として
   自信をもって自分の組織(会社)を勧めることが出来ますか?

皆さん、特に経営者、管理職の皆さん、答えはいかがでしょうか?
業界として厳しい環境にあると勧めづらいというケースはもちろんあるとは思います。ただ「働く組織として」という前提を置いたときに、冒頭の問いに対しては一定の回答は出来ると思います。もちろん、回答する人の主観が前提となるので、それが果たして他者から観ても同じく「YES」であるかはわかりません。しかし、少なくとも経営者、管理職者は自分の組織について、冒頭の問いに対して自信をもって「YES」と言えるか定期的に自問自答をするべきでしょう。

そして、もう1つ大事な視点は
「自分の部下も同じように「YES」と言える状態にあるか」
上層部は自分たちの会社(組織)は良いと思っているけど、部下たちは全然そう思っていないというケースありますよね?そして、そういう組織の上層部ほど、率直なコミュニケーションで当人たちに聴くこともなく「当然、部下達も同じように思っているはず」だと信じていがちです。
企業が永続していく為には、より良い人材の確保と社員の定着は大事な要素ですが、中で働く人が冒頭の問いにポジティブな回答を出せない状態は言うまでもなく良い状態とは言えませんから、経営層や管理職層は【自分にとっても、社員(部下)にとっても】という視点から常にこの冒頭の問いを意識し「常に改善行動を起こしていくべき」だと私は考えています(これは今回のコラムで最終的にお伝えしたい事とは別のポイントです) 。

余談ですが、良い会社という視点になると今は「ビジョン」というキーワードがすぐに語られますが、会社を「組織としての良い悪い」という視点で見る際には、あまりこの「ビジョン」というキーワードは直結しません。そもそもビジョンを掲げる時は、どの会社も良いものを掲げますし、素晴らしいビジョンを掲げているけれど、中の組織は・・・・というのは珍し話ではありませんから。

話を今回のコラムの本筋に戻しましょう。
では、社員の誰もが冒頭の問い【あなたは身内や大事な友人の勤め先として自信をもって自分の会社(組織)を勧めることが出来ますか?】に「YES」と言える会社(組織)は誰が創るのでしょう? いろいろな組織と関わらせて頂いていると、社員の方々から自社(自組織)に対する不満や嘆きを聴くことはたくさんあります。しかし、「でも、それって誰がより良い状態を創り出すんですかね?誰が今の環境をより良い状態にするべく動くべきなんですかね?」という問いに対して、歯切れのよい回答が来ることは少なくて、答えが返ってきたとしても部下の方たちは「それは経営層でしょう」と言いがちですし、管理職層でも同じ傾向が強いですね。

このやりとりで、私がいつも違和感を感じるのはそこには圧倒的に「当事者意識」が不足しているということです。
「大企業になると一社員にできる事なんて・・・」いう言い分もあるかもしれませんが、そうではなくて「自分が所属する組織」という視点になればその範疇はとても狭く身近になるはずです。しかし、残念ながら振り返って考えてみる対象範囲を自分の身近な狭い範囲へと限定したとしても、結構な確率で他責な発言が目に付きます。組織の一人一人がその組織を構成する大事な要素です。その一人一人の「良い組織にしていこうという意思と意識と行動」無くして、所属する誰にとってもより良い組織創りは上手く進まないはずです。若手であっても、何かを自分の手で変えることは出来なくても発信くらいは出来るはず。与えられるのを待つではなく、自分も当事者として関わる意識こそがまずは大事ではないかと私はいつも思っています。

つまり、私の考える良い会社(組織)を判断する1つの視点は
「所属している全ての人が当事者意識をもって自組織をより良くしようとアクションしていること」
です。

本人の立場によってアクションの内容は様々。責任ある立場であるほど、具体的かつ効果的な行動が必要ですし、先にも書いたように発信したり身近な人とどうすれば良いかという会話を始めることも十分にアクションです(会話が単なる愚痴こぼしに終わらず「どうしたら良いかな?」まで話せる必要はありますが)。

皆さんご自身、そして皆さんの組織はいかがですか?

参考までに、転職活動している方は面接で複数の面接官に質問してみると良いでしょう。
「身内や大事な友人の勤め先として、自分の会社(組織)を勧めますか?それはどういう点が勧めたい理由になりますか?」
何人かの面接官に聞いた回答の歯切れの良し悪し、その中身、共通性などを分析してみると、その会社があなたの価値観にあう良い組織で成り立っているかが垣間見えるはずです。