コラム:結果振り返りの重要性-2

 
少しでも質の高い仕事を継続的に実践する為には「一定期間の結果(成果に)に対して、より良い次へと改善できる効果的な結果の振り返り実践が重要である」ということについて、まずはその理由について【コラム:結果振り返りの重要性-1】(←LINK)で解説しました。

今回は、具体的にどういう視点で結果の振り返りをすれば良いかということについて書いていきます。ここでは、営業部門を例に挙げて解説していきますが、視点とポイントについては、ほとんどの職種でも同様の考え方ができるはずなので、営業職以外でも応用できるものとして読んでいただければと思います。

より良い次へと改善できる効果的な結果の振り返り実践のコツとなる4つポイントはこれです。

①-良くない結果となった主要因1~3個を行動プロセスから抽出する
②-①の主要因はそれぞれ本来はどうあるべきだったのか?
③-②のそれぞれはどうして十分に実践できなかったのか?
④-①~③を踏まえて次の期間は具体的にどのように行動するのか?

結果振り返りレポートとしてA4用紙1枚にこれらのポイントが記入できるようにするとフォーマットとしても良いですね。では、適切な結果の振り返り実践のコツとなる4つのポイントについて解説していきます。

①-良くない結果となった主要因1~3個を行動プロセスから抽出する

まずは、当事者が結果に対して、自己分析として「どうして良い結果を得られなかったのか」について振り返らなくてはなりません。営業職でこのような結果の振り返りをさせると、安易に「ポイントとなる案件が受注できませんでした」という言い分が出てきがちですが、本当の問題はそこではありません。ポイント案件が受注できなかったことよりも、ポイント案件が受注できなかった時でも達成できる他の案件を十分に仕込めていなかったこと」の方が問題なのです。もちろん、目標の達成には核となるポイント案件は必要かもしれませんが、目標達成がその案件次第という状態は、良いか悪いかで言えば、決して良いとは言えません。

ここの振り返りで大事なのは「行動プロセス」の中に主要因を求めるという視点です。多くの場合、導かれる要素は何らかに関する「量」「質」もしくは「スピード感」という話になるでしょう。「行動プロセス」から、今回の良くない結果となった主要因が抽出されたら、

「その主要因が全て防げていたら、適切な状態で実践できていたら、目標は達成できていただろうか?」

を必ず振り返らせてください。
その答えが「YES]であれば良し。「NO」であれば、それは要因の1つだったかもしれませんが、「良くない結果となった主要因」ではなかったということなので、再度、結果の振り返り要となります。ここ、皆さんが想像する以上に答えが「NO」なことがあるので、要注意です。

②-①の主要因はそれぞれ本来はどうあるべきだったのか?

適切に「良くない結果となった主要因」が抽出できたら、次はそれぞれに対して「本来はどうあるべきだったのか?」を考えさせてください。継続的に良い成果を出せていない組織は、ここが曖昧になりがちです。「良くない結果となった主要因」に対して、上司が単に「それはわかったが、では来月それはどうするんだ?」というやりとりをした場合、部下から帰ってくる回答は多くの場合「本人ができること」の範疇内でのものになります。しかし、良い成果を継続的に出すために必要な行動は「できること」ではなく、「すべきこと」の積み上げでなければいけません。ですから、ここの思考プロセスの中では、一度「本来すべきこと」例えば「本来すべき質、量、スピード感」をイメージさせなくてはならないのです。

:主要因抽出⇒対策立案
:主要因抽出⇒適切行動のイメージ⇒対策立案

という違いですね。

また、ここで注意しなくてはいけないのが「すべきこと」が抽象的にならないようにすることです。
「前月よりも多く」
「前月よりも丁寧に」
「前月よりも前倒しで早めに」

これはNGです。むしろ、こういう部分を抽象的で曖昧なイメージで行動するから継続的に良い結果を出せないのだと思ったほうが良いでしょう。代表的に用いられる「多い」「丁寧」「早め」などは、驚くほど人によってその具体的なイメージはばらつきますし、経験上、これを具体的な数値で表現してもらうと部下よりも上司の方が高い水準で答えます。

例えば「面談件数が足りていなかったので、来月はここを今月よりも多く行動します」という結果の振り返りによる結論があったとします。そこで「今月よりも《多く》とは具体的にどのくらいのイメージなのか?」を答えてもらうと、上司は「今月の2倍は必要」と答えるのに対して、部下は「1.5倍くらいはやります」と答えるという具合です。上司が良い結果を出すためには「2倍」とイメージするところを、当事者である部下は「1.5倍」を目指して行動するのですから、この時点で次月も芳しくない結果になる可能性は高いですよね。もしかしたら、今、苦笑された方もおられるかもしれませんが、こういう実態は本当に多いのです。「多く」「早く」といった抽象的な言葉のレベル感(ものさし)を「自分(上司)と部下の基準は同一」であると思い込んで話を流してしまうというのは「継続的に良い成果を出せていない組織の会議あるある」です。今度、部下からこういった抽象的な表現が出てきたら「君の言う《多く》って具体的にはどのくらいのイメージなの?」と、その言葉がさすレベルを確認してみてください。上司と部下の目線を合わせることになるこの些細な確認の徹底が、組織の業績を上向きに変えるキッカケになることもあるのです。

後半の

③-②のそれぞれはどうして十分に実践できなかったのか?
④-①~③を踏まえて次の期間は具体的にどのように行動するのか?

については、次回のコラム:結果振り返りの重要性-3<←LINK>で紹介していきます!