コラム:「顔を観て挨拶」から始める
「部下のことをよく観る」
これに関する基本中の基本が、まず実践できているかのセルフチェック方法があります。それは誰でも良いのである一人の部下について、昨日の朝、一番最初に会った際(普通に考えれば朝の挨拶のタイミングのはずですよね)にその部下がどんな表情をしていたかがパっと思い返せるか否か。
実は、これは【引き出す人材育成】を始め人材育成のセミナーで毎回する質問なのですが、思い浮かべられた人に挙手をお願いしても、まずほとんどの場合、参加者の50%以上の手が上がることはありません。でも、この質問の前に「上司として部下のことを観れていると思う人?」と問えば、その質問には50%以上の人が手を上げるのです。つまり、あくまでも観れているつもりで実はちゃんと観れていない人が結構いるという事です。
人材育成に真剣に取り組もうとする時に、直近で朝の挨拶をした際の部下の表情を思い出せない。これって、正しいあり方ではありませんよね?もしかしたら、役割で仕方なく育成に向き合ってるだけで、肝心の部下に対して人としての関心が無い(実際には関心が薄いという表現が近いと思います)という人もいるかもしれませんが、人材育成スキル云々の前に部下一人一人に対して関心を寄せられなければ、より良い人材育成を実践できるわけがありません。
「当たり前をどれだけ当たり前に実践できるか??」人材育成に本気で取り組もうとするならば、基本に立ち返って「挨拶をする時は相手の顔を観て挨拶する」というこの当たり前を、「毎日」ちゃんと実践することから初めてください。実際、私自身も管理職となった時に何よりもまず最初にこだわったのはこれでした。間違っても「挨拶ぐらい・・・」なんて軽く考えてはいけません。顔を観ての挨拶は部下にとって上司の自分に対する関心を無意識的に感じさせます。毎日、表情を観ていれば、いろんなことに上司として気づけるようになります。継続は力なりです。「部下の顔を観て挨拶する」のに何のスキルも必要ありませんし、挨拶することだけみれば難しい事もありませんが、毎日続けるというのは簡単ではありません。でもそこは上司が本気で「やる」か「やらないか」のただそれだけであり、たったそれだけからでも変わってくるのです。
ちなみに、文中「見る」ではなく「観る」になっているのは言うまでもなく意味があります。なんとなく視線に入ってきて見るのではなく、意志と意識、意図をもって部下のことを観ましょう!