コラム:孫子に学ぶ営業の鉄則-2

LINEで送る
Pocket
LinkedIn にシェア

前回は、コラム:孫子に学ぶ営業の鉄則-1(前編)ということで、

彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず

という孫子の名言の中でも最も有名であろう一文を用いて、営業担当が高い業績を継続的にあげていくために「自社・競合の商材について知る」が、いかに大事な事であるかということについて解説しました。

今回は「では何からどうすれば良いのか?「を3つのポイントを解説していきます。

1.自社商材の特徴
2.競合商材の特徴
3.自社商材と競合商材の違いと差

1.自社商材の特徴

まず自社商材の特徴ですが、営業担当数名に集まってもらい「主力商材Aの代表的な特徴を上げてください」とリクエストした時、特徴の3~5つが各営業担当から立て続けにあげられるかというと、業績に苦戦している組織ほど、営業担当からのレスポンスは悪いという事実があります。ちなみに、商材がモノではなく、サービス、特にそれが一品一様な類(受託システム開発など)であった場合は、商材を「自社」と設定すればOKです。

話を戻しましょう。

先にあげた自社商材の特徴をサラッと言えない営業担当も、もちろん、わかっていないわけではありませんが「何から優先的に伝えるべきか」が凄く曖昧なのです。つまり自社の主力商材の推すべき特徴の強弱が正しく理解できていない。あと、よくあるのは自分の意見に自信が無いのか、やたら同席した他の人の雰囲気を観る。営業担当として、それが良いのか悪いのかは言うまでもありません。少なくとも、多少のずれがあっても3~5つの特徴を矢継ぎ早に口にできるほうがマシです。何かしらでもさっとあげることが出来るというのは、本人の中では伝えるべき商材の特徴について強弱がはっきりできているからですから。もちろん、お客様に合わせて伝える特徴が違うだろうという言い分はわかりますが、まずは特定の対象を無しとしたオープンな状態での特徴ピックアップは基礎ですから、まずはそこの話しとして考えてください。

Thumbnail8もう1つ、業績に苦戦する組織ほどありがちな傾向が、複数の営業担当から回答される商材の特徴がバラバラというもの。営業担当数名に主力商材の特徴を上げてもらった時に、回答がバラバラという状態は決して良いとは言えません。お客様の立場で考えてください、そんな会社に対してどういう印象を受けるか。せめて、順不同でも、代表的特徴3つくらいは誰に聴いても同じ回答があるべき基本です。そもそもこの程度の数の特徴は、カタログや営業資料の主要部分に記載されているはずなのです。営業担当に商材の代表的特徴を聴いたときに、カタログに大きく上げられているものを差し置いて他の特徴があげられたら「え?じゃ、このカタログに大きく謳われている特徴は何?」と思いますよね?

ものは試しです、営業担当数名に別々でヒアリングしてみると良いでしょう。
「主力商材Aの代表的特徴を3つ言ってみて」と。
(是非、自社の特徴についても同じ質問をしてみてください)

まず営業担当は、主力商材の特徴については、組織の統一理解として共有されている状態にすること。そして、今回は言及しませんが、それを「適切に」お客様に伝えられるスキル、トークが身についている事は「自社商材について、正しく知っている(理解している)」と必ずセットでおさえるようにしましょう。営業は、知識があってもそれを正しく相手に伝えることが出来なければ意味がありません。

2.競合商材の特徴

これは、先にあげた「1.自社商材の特徴」と同じことを「競合する商材についても正しく知っている(理解している)」ようにしましょうということです。相手を適切に知ることで「商談において勝負するポイント、注意するポイントがどこなのか」が、初めてより正確に理解出来ます。競合した商談で「勝てるプレゼン」を組み立てる為にはこの情報は不可欠なのですが、ここまで読んで頂いた方にはその理由について改めて説明する必要はありませんよね?

競合の商材カタログで強調されているセールスポイントは何か。できれば競合の営業担当が、その商材についてどういうプレゼンをしているかということも、お客様にヒアリングして把握しておきたいところですね。競合の営業担当にセンスが無くて、勿体無いプレゼンをしていると知っていれば商談で競合した時にこちらとしては心理的にも有利ですからね。

3.自社商材と競合商材の違いと差

先にあげた「1.自社商材の特徴」「2.競合商材の特徴」は、実はこの「3.自社商材と競合商材の違いと差」への布石でもあります。競合した商談で「勝てるプレゼン」を組み立てる為に大事なのは【自社商材と競合商材の違いと差】の視点で、それを正しく理解できているかということです。

どうでしょう、自社商材と競合商材を比べる時に「違い」と「差」を意識して考えていますか?

営業の商談を想定した上での理解としては、

「違い」-仕様としてどちらかには無い
「差」 -仕様として双方にはあるが、レベルが同一ではない

「違い」は、自社商材だと〇〇が出来るけど、競合商材ではそれが出来ないというイメージですね。お客様の要望を実現できる機能が自社商材にあって、競合商材になければ非常に有利ですし、逆であればその商談は苦戦を強いられるでしょう。

「差」は、サイズなどが典型的なものでしょう。私がかつていた工場のFA界隈ですと、センサーの設置スペースが限られている為に、自社商材は問題ないが、競合商材はサイズ的に無理があるというパターンがよくある話です。精度や反応速度もどのメーカーにもある基本仕様ですが、そのレベルには大小の差が存在しています。Web広告であればページビューやクリック数、金融商品であれば利回りなどがそれに該当しますね。

大事なのは仕様面で競合に対して勝っている負けているということではなく、まずはその事実を正しく理解し、それを元に商談に応じたプレゼンを組み立てるということです。業績が上がらない営業担当はここがとにかく雑もしくはほとんど意識できていません。更に酷い場合、仕様で負けているから無理ですとあっさりと商談を諦めてしまったりもします。この諦めるようなケースは営業担当が勝手に判断しがちで、上司に報告すらされないケースも多々あります。競合に発注が出た後、ふとしたキッカケで上司の耳に初めて入り、「何やってんだ!」と叱責されるような光景は決して珍しくは無いのです。

「違い」で自社が不利なケースは、その点だけを見て自社商材の弱さを嘆くのではなく、商談全体で考えた時にそれが致命的なのか?は冷静に見なくはいけません。若い営業は自社の負けている仕様をやたらと気にして厳しい商談だと嘆きがちですが、上司からすれば「その仕様が無いのはどうしようもないけど、この商談でもっと大事なのは別のポイントでそこはむしろうちが有利じゃないか」と思うケースも全然ありますよね。
もちろん、日々営業をしていれば商談の大事なポイントで競合商材との「違い」によって不利な状況にあるケースもありえます。それを巻き返すプレゼンの組み立て方もあるのですがそれは少し高度なノウハウなのでオープンなコラムでは言及は避けておきます。

今回、皆さんに伝えたい、より幅広く活用できるノウハウは競合商材との「差」についての考え方です。

具体例をあげてみましょう。

一般的には納期が7~10日ほど掛かるのが当たり前とされる商品があったとします。それに対して、自社は2日納期が売り、競合は3日納期が売りという状況だったとしましょう。この事実をどう捉えるか?

一般に比べて自社は非常に納期が早い。でも競合も同レベルだからここでは差がつかない。

まさか、こんな捉え方してませんよね?と言いたいところですが、業績が伸びない営業はこういう捉え方をしがちなのです。これ、間違ってますから。「似たようなレベル」と「同じ」はしっかりと区別をして考えないといけません。この場合の捉え方は「うちは圧倒的な業界最速納期であり、競合に対しても1日早い納品ができる」が正解です。間違ってもせっかくの「差」を、「似たようなレベル」と同一視してはいけません。納期の1日の差に意味があるかないかは、お客様が、場合によっては商談によって決めるのです。サイズの1mmの違い、ページビューの100の違いも同じです。それを営業が勝手に「同レベルで差が無い」(本当はあるのに)から勝負できるポイントでは無いだなんて考えているようではダメです。
もちろん、その「差」がお客様にとっても大した意味が無い為に勝負ポイントに出来ないケースもたくさんあるでしょう。その手の商談はここで取り上げる対象ではありません。その「差」が意味をなさない商談もあれば、営業が丁寧にプレゼンすることでその「差」がお客様にとって意味ある「差」となる商談は必ず存在していて、その商談は絶対に取りこぼさないようにしましょうという話なのです。その為には、正しい理解の元、少しの差が意味を持つようなシチュエーションを交えたプレゼンを組み立てるのです。今は意味が無くても、その差が将来的に意味を持つ可能性が無いのかも考慮すべきでしょう。その差がコストや工数へ換算できるならしっかりと数字で示すことも忘れてはいけません。これを丁寧に実践できれば間違いなく、年間で受注獲得できる競合商談は増えるはずです。
ちなみに、逆に自社商材が不利な「差」は「その差は、本当に問題ありますかね?」というプレゼンの組み立てで考えてていきましょう。

最後に・・・

【孫子に学ぶ営業の鉄則】と題して前後編でお届けしました今回のコラムの内容ですが、中には「当たり前の内容だし、まぁうちの部下は大丈夫」なんて思わないでください。そこは、もっと慎重に「うちは大丈夫かな?」と少し心配性なくらいでちょうど良いのです。今回の内容が業績に効いてくるのは、これまでも受注獲得出来ている商談ではなく、取りこぼしたり、不要な値引きをしてしまっていた商談です。組織の責任者としてそこを少しでも伸ばしたいとお考えであれば、是非、実態確認をしてみてください。そして、競合との「差」の話しと同様の視点で「大体出来ている」はOKではないという理解で、改善余地を見出していただければと思います。

今回のコラム内容に関連しそうなコラムのリンクも以下に紹介しておきます。
もちろん、これを機会に営業力強化のご相談は大歓迎です!

営業力チェックシート:一部を限定公開!
コラム:営業が売るものとは
コラム:【売れる営業】への指導
コラム:注文下さいが言えない営業
コラム:孫子に学ぶ営業の鉄則-1(前編)

セミナー予定400

 【組織営業総研】 代 表:御 供 田 省 吾
組織営業総研 代表 御供田省吾 営業力強化 人材育成コンサルタント 管理職育成、営業力強化、人材育成コンサルタント。 元(株)キーエンス エリア営業責任者~HOME'S営業Unit長。延べ数百名をマネジメントしてきた豊富な現場経験を元にしたノウハウで経営者と管理職、若手の気持ちがわかるコンサルタントとして企業を支援中。詳細はコチラ。

LINEで送る
Pocket
LinkedIn にシェア